緑の相談・よくある質問

緑の相談所

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よくある質問

緑の相談所によく寄せられる質問を掲載しています。

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観葉植物のモンステラが大きくなって、鉢とのバランスが悪くなりました。どうしたらよいでしょうか。

モンステラは、生長するにつれて縁から葉脈にかけて深い切れ込みや穴ができて、独特のおもしろい形の葉になります。



茎が伸びて、茎の途中からたくさんの気根を出しますが、栽培期間が長くなると下葉(古葉)が落ちて、バランスが悪くなります。バランスが悪くなったモンステラは、思い切って切り戻します。切り戻した後、通常通り管理(土壌が乾燥すればたっぷり潅水し、湿り気があればやらない)すれば、新しい芽が吹いてきます。また、切り取った地上部は別の鉢に植え付けます。用土は水はけの良い土(例:赤玉土(小粒)6・腐葉土3・ボラ土(小粒)1)にします。この時、茎から出た気根を鉢の用土内に埋め込んで、支柱を立ててぐらつかないようにしておきます。葉からの蒸散が多いようでしたら、大きめのビニル袋に入れて湿度を保つか、大きな葉を半分程度切り取って葉面積を減らして、萎れるのを防ぎます。



モンステラの茎葉から出る汁には毒がありますから、切戻しの際には、切り口から出る汁液(蓚酸カルシウム)が皮膚に触れないよう手袋などして取り扱って下さい。


クンシランの花が終わりました。どうすればよいでしょうか?

花茎をつけたままにしておくとタネができて株が弱ります。タネを採る目的がないなら、数輪枯れてきたころを見計らって、花茎を付け根から切り落とします。花茎の根元にカッターナイフなどで切れ目を入れて、手前に倒すように折り取ると、パキッと簡単に切り取れます。


柑橘の木の幹に穴が空いており、木屑が出ています。原因と対策を教えて下さい。

柑橘栽培では、カミキリムシ、アゲハチョウの幼虫、カイガラムシ、アブラムシ、ダニなどいろいろな害虫がやってきます。



特に黒地に白い斑点のゴマダラカミキリは、柑橘栽培の大敵です。ご質問の「木の幹に穴が空いており、木屑が出ています」というのは、まさにこのゴマダラカミキリの幼虫が原因です。ゴマダラカミキリは5月から6月に羽化して成虫となります。羽化して葉や茎を食害し、交尾して10日前後で産卵を始めます。産卵の時期は6月から10月ですが、最盛期は6月から7月ですから、この間に成虫を補殺することが重要です。



また、幹から木屑が出ている場合はすでに加害が始まっていますから、針金等を穴に突き刺して殺す方法と殺虫剤(園芸用キンチョールE)の注入です。カミキリムシの幼虫は樹体内で1~2年生活しますので、しっかり殺虫しておかないとミカンが株ごと枯れてしまいます。



ミカン以外ではイチジク、ナシ、リンゴ、ヤナギなどにもカミキリムシの幼虫が加害します。イチジクではゴマダラカミキリ、クワカミキリ、キボシカミキリなどの幼虫が加害します。殺虫方法はミカンと同様ですが、場合によっては強めの剪定をして、枝ごと処分する方法もあります。


温州ミカンの剪定時期と方法を教えて下さい。また、肥料をやる時期はいつでしょうか。

温州ミカンの剪定時期は3月です。



花芽は前年の春枝(春に伸びた枝)の先端付近によくつきます。前年、実がついた枝には花芽はつきません。剪定では、込み合う部分(ふところ枝、下向きの枝など)の枝を間引いて、樹冠内部まで日が当たるようにします。枝は開くように誘引しますと花芽がつきやすくなりますので、仕立て方は樹高を抑えて、開心自然形などにします。



柑橘類は隔年結果(1年ごとに着果数が多かったり少なかったりを交互に繰り返す)しやすいので、表年だった翌年3月は軽めの剪定にし、裏年だった翌年は切り返し剪定を多めに行い、結果母枝(春枝)を多く発生させるようにします。



肥料をやる時期は3月、6月、10月です。3月に有機肥料、6月と10月には化成肥料を施しますが、実物ですからリン酸分(有機では骨粉など)を多く含んだ肥料が良いでしょう。


皇帝ダリアの花後の管理を教えて下さい。

皇帝ダリアの花が終わった後、葉が枯れはじめたら地際から切ります。残った株からは春から芽が伸びはじめます。芽が伸び始めたら、5月以降、摘芯してやれば、開花時期の草丈を調節することができます。



切りとった茎は、1~2節ごとに切り分けて、盛り土の中で(水浸しにならないように)保管しておきます。それを3月に掘り出して、挿し木(上下を間違わないように)すれば新しい株ができます。


シャクヤクの蕾がついているのですが、開花してくれません。原因はなんでしょうか。

シャクヤクの蕾は多くの蜜を出すことが知られています。蕾を良く観察してもらえば、蜜を見つけることができるでしょう。指にとって舐めれば、甘いので確認できます。



この蜜は雨や朝露などで濡れれば流れますが、蜜が付着したままですと蕾のガクや花弁を接着してしまい、開花ができません。また、そのような状態で灰色カビ病などが発生して、蕾が腐ってしまいます。蕾に蜜がたくさんついている場合、ハンドスプレーで霧吹きしてやると蜜による固着が解消されてうまく開花します。



また、シャクヤクを切花で楽しむときは、蕾が大きくなったものを切り取り、少し荒っぽいやり方ですが、蕾(頭)をバケツの水で洗ってやれば、蜜がとれて、開花してくれます。


スイセンの花が終わりました。葉が伸びすぎているので切りたいのですが。

スイセンなどの球根植物は、花後の葉が球根肥大に重要な役割を持っています。花後すぐに葉を切ると球根の肥大が阻害されますので、そのままにしておいてください。葉が黄色く枯れ始めたら堀上げの時期です。球根堀上げは2~3年ごとに行い、1球ずつに分球して、間隔をおいて植え付けてください。


ブーゲンビリアの花付きを良くするにはどのようにしたら良いでしょうか。

ブーゲンビリアは温度さえあれば、一年中開花する性質を持っています。しかし、温度と日照を一年中保てるような温室がなければ、春先から秋に開花することになります。



ブーゲンビリアの花付きを良くするには、日当たりのよい場所で育てることが肝要です。日当たりが悪いと枝が間延びして、花付きが極端に悪くなります。開花中の鉢花を室内に取り込むと日照不足で花が落ちることもあります。一年を通して日光に充分当てることが栽培の基本です。



また、花付きを良くするには、剪定が重要です。花は主に短い枝に付き、間延びした枝(徒長枝)には付きません。短い枝をたくさん出させるようにすると、花付きも良くなります。本格的な剪定は、6月中旬~8月の花が一段落したタイミングで行います。伸びすぎた枝があれば、その都度枝先を切り戻します。花が咲き終わった枝は2~3節残して切り落とし、新しい芽の発生を促します。新しく伸びた枝も勢いが強く長く伸びたものは先端を切り詰めるか、付け根で切り落とします。枝が混み合ってきたら、トゲだらけの枝や、花付きのまばらな枝を切り落として採光と通風を良くします。さらに、枝を横に誘引すると先端だけでなく枝の所々から花芽を出すようになります。


クリスマスローズの花後の管理はどうしたらよいのでしょうか。

クリスマスローズの花は、ガク片が花弁のように見えているので、4月以降になってもまだ鑑賞できます。しかし、良く観ると咲き始めの時よりも色褪せたり、グリーンやベージュ色が強くなって、子房が膨らんできています。このままにしておくと、種子の充実に栄養がとられて株が弱ってしまい、翌年の生育と花付きが悪くなりますので、ハイブリッド種や原種の無茎種は花茎を元から切り取ります。この時、ハサミやカッターナイフは火であぶるなり、抗ウィルス薬で消毒して使用してください。



有茎種の場合は、来年花をつける新しい茎が伸びあがるまで待って切り取ります。早めに切りたい場合は、茎と葉は残して花首から切り落として下さい。


シクラメンの夏越しについて教えて下さい。

シクラメンは地中海地方が原産の多年草です。夏の暑さに弱く、5月頃に葉が枯れて休眠状態になることが多いですが、寒冷地や涼しい環境に置かれている株は休眠せずに夏を越します。夏越しは休眠状態で行う方法と休眠させずに行う方法があります。



 



◎休眠状態で夏越しする場合



初夏に葉が枯れ始めたら、徐々に潅水量を減らし、完全に葉が枯れて休眠にはいったら、9月に植え替えるまで一切水を与えません。



休眠に入った株は日光の当たらない風通しの良い場所(昔は涼しい縁の下に入れておく、という説明でした)で夏越しをさせます。自生地では6月~10月頃は雨が降らない高温乾燥期で葉が枯れて休眠にはいります。ですからこの夏越し法は自生地の生育サイクルに近い方法です。ただ、日本の夏は高温多湿なので球根が腐ることがありますから、風通しの良い場所、というのがポイントです。



 



◎休眠させずに夏越しする場合



 休眠させない場合、水やりは通常通り行い、肥料は薄めの液体肥料を月に1回施します。株は半日陰の涼しい場所(建物の影の風通しの良い場所など)で夏越しさせます。底面給水鉢ではこの方法で夏越しさせるのがいいでしょう。


花が咲いているシクラメンの鉢物の管理方法を教えて下さい。

年末から新年にかけて花屋の店頭に並べられるシクラメンは、うまく管理すれば数年楽しむことができます。



シクラメンは5~10℃の低温にも十分耐える植物です。また、花の咲いている冬から春は日光に十分当てる必要がありますから、冬でも天気の良い日中は外光の中で育てます。光が弱く風通しの悪い室内に飾ったままだったり、暖房の効いた部屋ではすぐに株が弱ってしまいます。日中はできるだけ日に当て、寒の厳しい夜は暖房の効いていない玄関(室内)に取り込む、というのが基本です。



観賞価値がなくなった花は、花茎の根元を持って、ひねりながら抜いてください。また、株元から新たに上がってきている花には光が当たるように葉組みをしてやります。



肥料は1,000倍~2,000倍の液肥を2週間に1回程度与えます。



最近では、底面給水型の鉢も多くみられます。この場合は、下の給水鉢から水をやります。決して上からは潅水しないようにしてください。液肥も下の給水鉢に入れます。


シンビジウムの蕾のあたりがベタベタしています。どうしてでしょうか。また、対策を教えて下さい。

花外蜜腺から出た蜜によってべたついているものと思われます。シンビジウムの花を観察すると、透明な水滴がつぼみの付け根や咲いた花のガクの下についています。これを指先につけて舐めてみると甘い蜜であることがわかります。この蜜によってアリを呼び寄せ、他の害虫が寄ってこないようにするものであろうと推測されています。



この蜜は、湿った布やティシュでふき取ればきれいに取れます。


コチョウランの植替え方法を教えて下さい。

コチョウランは東南アジアの熱帯~亜熱帯に自生する着生ランです。自生地では木漏れ日が当たる樹上に着生し、高温多湿ですが風通しの良い環境で育っています。栽培する場合はそのような環境に近づけてやります。着生ランですから、地生植物のように土中に根を埋め込む必要はありません。栽培する人間の都合で鉢植えにしていますが、本来は樹皮に根が張り付いた状態で生育していますから、鉢植えする場合も植え込み材はミズゴケやバークチップを使用することになります。



今栽培しているコチョウランの植え込み材が何か確認し、通常は同じもので植替えしますが、ここではミズゴケでの植替え方法について説明します。



ミズゴケは国産もありますが手に入りにくく、ニュージーランド、チリ、中国などから輸入されたものがほとんどです。輸入物はそれぞれに性質が異なりますが、ニュージーランド産を利用するのが無難でしょう。



植替えの方法は、まず、ミズゴケに十分に水を含ませます。次に、植え替えるコチョウランを鉢から抜いて、古い植え込み材を取り除き、傷んだ根(干からびた根や黒く腐った根など)は消毒したハサミで切り取ります。十分湿ったミズゴケをしっかり絞った後、少しほぐして空気を含ませます。適当な大きさのミズゴケの塊をつくり、コチョウランの下に入れ、周囲の根に抱かせます。そのうえで別のミズゴケを根の周りにやさしく巻きつけ、三寸程度の素焼き鉢に柔らかく押し入れてください。その後、室内(ガラス戸の内側)のレースのカーテン越しに置いて管理します。水やりはミズゴケが乾燥してから、たっぷりやってください。乾燥が気になる場合は、ハンドスプレーで葉や根に軽く水を霧吹きしてやれば、コチョウランの周囲の湿度を保てます。肥料は植替え後1ヶ月ほどしてから、薄い液肥(2,000~5,000倍)を水やりのタイミングでやります。


コチョウランの鉢物(三本立ち)をいただきました。開花期と花後の管理方法を教えて下さい。

高級な贈答品として良く利用される鉢物ですが、いただいたコチョウランをどのように管理したらよいかで、悩まれている方も多くいるようです。



開花期間中から花後の置き場所は、ガラス戸の内側(室内)、レースのカーテン越しの日の良く当る場所が適しています。光量でいえば3万ルックス程度(晴天時の屋外では10万ルックス以上ありますから3分の1くらい)が最適です。また、温度は最低10℃(品種によっては15℃)程度までは大丈夫ですから、人のいる室内の環境であれば、冬でも問題ないでしょう。コチョウラン栽培でよく失敗するのは、水やりと通風です。贈答品では三本立や5本立の鉢物が多いのですが、水やりを一方向からだけ行うと、それぞれの株(三本立なら3株ある)の潅水量が違ってきます。特に、いつも潅水される株は根腐れしてしまうことが多いようです。ですから、初めにそれぞれの鉢の位置を確認する必要があります。そのうえでそれぞれの鉢に潅水しますが、水のやりすぎには注意する必要があります。鉢の植え込み材(ミズゴケやバーク)が湿っている状態では潅水の必要はありません。完全に乾いた状態で潅水します。潅水のタイミングは気象条件(光、温度、湿度、通風)にも左右されます。曇天、雨天が続いている場合は、潅水の必要はないでしょう。どうしても水分補給が心配なら、ハンドスプレーで葉や露出した根に霧吹きしてやりましょう。



花が終わったら、緑色の花茎の下から2~3節を残して切ります。うまくいけば、残した節から新たな花芽が伸びてきますので、2度目の花が楽しめます。また、花茎を切った時に、寄せ植えされた株を一鉢ずつに分けて、単鉢で管理するようにします。この方が潅水や光条件、通風などの管理がやりやすいです。単鉢にした時に、植え込み材と根の状態を確認し、材や根が傷んでいるようなら植え替えます。(コチョウランの植替えは別記)



コチョウランの肥料は薄い液肥を基本にしてください。倍率で言えば2,000倍~5,000倍の液肥です。鉢物や草花のように濃い液肥(500倍)をやると肥料あたりして根が傷みます。



コチョウランは、18℃以下の涼温に1~2ヶ月当てることで花芽分化しますから、風通しの良い日陰などで秋の低温にはできるだけ当ててやると花芽が作られやすくなります。


アジサイの青色系品種の花色をきれいにしたいのですが。

アジサイ(Hydrangea macrophylla)は、品種ごとに花色が異なります。おおまかに青色系、ピンク(赤色)系、白色系となります。



このうち青色系のアジサイは、土壌のpHによって花色の鮮やかさが左右されます。青色系アジサイでは、酸性土壌で鮮やかな青色が発色します。これは、酸性土壌で土中のアルミニウムが遊離し、アジサイに吸収されて色素と結合して発色するためです。逆に、アルミニウムが吸収されないと、赤みを帯びた紫色になってしまいます。ですから、青色系のアジサイを植える場合は、土壌を酸性にするため、無調整のピートモスや鹿沼土で土づくりをします。



また、肥料として生理的酸性肥料の硫安、硫酸カリ、塩化カリなどを施用することで土壌が酸性傾向になります。また、ミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム)を水に溶かして土壌灌注することで、土中のアルミニウムを増やしてアジサイに吸収させ、より鮮やかな青色を発色させることができます(もちろん、土壌が酸性であること)。



なお、白色系(色素をもたない)アジサイは土壌のpHに左右されません。


アジサイの花が終わりました。剪定の時期や方法を教えて下さい。

アジサイ(Hydrangea macrophylla)は、翌年の花芽形成が7~8月から始まり、10月には出来上がります。したがって翌年の花を楽しむつもりなら、7月中旬ころには剪定する必要があります。また、深く剪定すると花芽が形成しにくくなりますから、剪定位置は花の下2節(葉数4枚)の上で行います。



ただし、このような剪定を繰り返すと草丈が高く(株が大きく)なりすぎますので、株全体の形状を観ながら、茎の立本数のうち特に長くなったものは深く切り戻してもよいでしょう。毎年このようにすれば、花を楽しみながら、株の大きさを調節することができます。


カエデの地際付近に木屑がたまっていて,木が弱ってきました。

木屑(カミキリムシの虫フン)のたまった近くの幹に小さな穴や樹液が出ているような場所があれば,その奥にカミキリムシの幼虫が入っている恐れがあります。



穴を見つけたら針金を穴に通して何度か往復させます。幼虫はだいたい穴より上に入っています。うまくいけば針金で虫を刺すことができるかもしれません。殺せなくても虫フンのたまった通り道の掃除をした後に,細いノズルのついた園芸用殺虫剤を穴に何度か噴射して,そこをクラフトテープなどでふさいでおきます。2~3日後にテープを外し,のちに新たな木屑が出なければ,虫が死んだことになります。まだ出るようであれば,針金での掃除と殺虫剤噴射を繰り返します。もし放置しておくと何年にもわたって食害して,木の穴が大きくなり,最後には枯れてしまいます。



 カミキリムシには多くの種類がいて,いろいろの樹木を食害しますが,特に多いのはカエデ類,カンキツ類,イチジク,クワ,ケヤキなどです。


「サクラ切るバカ…」などといいますが,サクラの枝は切ってはいけないのでしょうか

サクラの木は枝を切ってそのままにしておくと,切り口から腐れが入って木が弱ることからこのような言い習わしがあります。一方でサクラ類は地際近くからたくさん萌芽しやすい性質があり,そのままだと枝分かれして樹形が崩れやすいのも事実です。その場合不要な枝を早目に除去することにより端正な姿に仕立てられます。



剪定鋏で切れる程度(直径2cmくらい)の枝であればそのまま放置しても構いませんが,それ以上太い枝を鋸などで切った場合は切り口に癒合促進剤を塗りつけてください。そうすれば腐れが入らずに切り口が巻き込み,直径5~6cm位の切口であれば2~3年で目立たなくなります。それ以上の大きさではどうしても元の木に腐れが入りますので,できるだけ早い処置をしてください。切る位置は枝分かれしているところで行うのが基本です。剪定時期は細い枝であればいつでもかまいませんが,太い枝は樹液の出にくい冬の時期がいいようです。



サクラの中でもソメイヨシノは特にテングス病にかかりやすく,放置しておくと木全体に広がって見苦しい上に,花が咲かなくなりますので,早めに病気にかかった枝を切り取ることが必要です。


サンショウの木を庭に植えてもよく枯らしてしまいます。どういうことに気を付ければいいでしょう?

植えつける時期はできれば葉が落ちる11~12月又は新葉の出る前の3月頃がお勧めです。



サンショウは根が浅く,しかも細かい根が少ないので,深植えすると次第に弱ってきます。かといって浅目に植えると夏期のちょっとした乾燥で枯れやすいので,やや浅目に植えて地際に落ち葉や腐葉土を敷き詰めておくとよいでしょう。野生状態ではやや乾燥した,養分少なめの赤土土壌によく見られますので,そういう環境を再現するようにしてください。



どうしても葉のある時期に植える場合は,その年出た枝葉の先端を三分の一から二分の一程度切り落としてから植えると,うまく活着することが多いようです。


アオキに花が咲いたけど実がつきません

冬にアオキの緑色の葉と赤い実のコントラストはいいものですが,この木は雌雄異株といって,木に雄花と雌花が別々の木に咲き,実がなるのは当然雌株です。そのため実を楽しみたい場合は雌株(種類によっては雄株も)を植える必要があります。



樹木類には他にも雌雄異株(完全に雄株,雌株に分かれるのではなく,おしべとめしべが同居するものあります)となるものがあります。イチョウやソテツなどよく知られているものの他にはアカメガシワ,イイギリ,イチョウ,イヌマキ,キウイ,キンモクセイ,サンショウ,シロダモ,ソテツ,ツルウメモドキ,トネリコ類,ハナイカダ,ヒイラギ,パパイヤ,ヒトツバタゴ,モチノキ類,ヤナギ類,ヤマモモ,ユズリハなどがあります。


カイズカイブキの剪定の仕方

一般に針葉樹類は剪定した場合残った枝先にある程度以上の葉がついていないと,枝ごと枯れてしまいます。そこで一度に剪定するのではなく,毎年少しずつ剪定することがお勧めです。



不要な枝は基から切って内側にも光が当たるようにするとよいでしょう。また深切りすると枝が枯れなくてもスギの葉のような尖った葉に変わることもあります。これは枝が若返ってしまったことによるものです。その場合は基部の葉を少し残しておけば,そのうちに本来の葉に戻ります。



挿し木で増やしたいときにはむしろこのように尖った葉のある枝を使うと発根率が高まります。


鉢植えで咲いていた花木を地植えしたら,翌年から花がつかなくなった。

一般に鉢植えでは土が限られ,成長が抑制されるので小さくても花が咲きやすいのですが,庭に植えると木が再び成長を始めるので,その間は花が咲かなくなります。そしてその木本来の大きさになってようやく花が咲きはじめます。その場合根を切り詰めることで一時的に花が咲くことがありますが,切られた根が成長する間は,咲かなくなることが多いようです。



また窒素肥料の与えすぎると,枝や葉ばかりが成長してこれも花が付きにくくなります。与えるとすればリン酸分が多めの肥料(骨粉など)を少量与えてください。


サクラの幹から虫のフンとともにヤニが出てきました

コスカシバというハチに似たガの一種が木に卵を産み付け,幼虫が内樹皮を食べるため,虫フンとともに,ドロッとしたヤニが出てきます。放置しておくと穴が次第に大きくなり,木が衰えたり枯れたりすることもあります。



見つけ次第皮を切開して虫を取り除くとともに穴に園芸用殺虫剤を噴射しておき,切開部に癒合促進剤を塗っておきます。弱った木に発生しやすいので,周囲の土を耕して柔らかくして,木に活力を与えるとよいでしょう。



サクラ類のほかモモやスモモなどにも発生します。


ツツジ類の剪定の仕方は

球形や方形に仕立てられているクルメツツジ,キリシマツツジ,ヨドガワツツジ,サツキなどは,木の大きさに応じて花後すぐに5~10cm程度刈りこんでおけば,それほど大きくせずに翌年も花を咲かせることができます。花芽は7~8月につくられるので,その前後の剪定は花芽ができないか,せっかくできた花芽を摘むことになります。また花後すぐの剪定であっても,葉のついていない場所まで深く刈り込むと枝が若返りすぎて花が咲かないことがあります。


ツツジの葉が白くかすり状になり色あせてしまった。

ツツジグンバイムシという直径約3mm程度の虫が葉裏について汁を吸うため,葉の色が悪くなるとともに,葉裏に黒い小さなフンを残します。特に梅雨明け頃からの乾燥した時期に多く発生します。



風通しを良くするため,剪定や整枝を適切に行うとともに,特に葉裏を中心に園芸用殺虫剤を散布します。



ツツジ類のほかアセビやシャクナゲなど他のツツジ科樹木やウメ,カイドウ,ボケ,サクラなどバラ科の樹木にも発生します。


ウメの樹皮にコケのようなものがついた。

白っぽいヒラヒラしたものであればウメノキゴケを代表とする地衣類(蘚苔類と藻類が合体したもの)と思われます。これは木の生長が衰えた上に,樹皮に日が当たるような場合に発生します。これ自体は木に悪影響を及ぼすものではありません。気になるようであれば歯ブラシなどでこさぎ取ってかまいませんが,樹皮を傷つけないようにしてください。木の衰えが大きな原因ですので,根元周りの土を広めに耕して,木に活力を与えてください。



 樹皮にべったりと張り付いているようなものであればカイガラムシ類とこうやく病菌が共生してできたものが考えられます,一般的にはこうやく病と呼ばれていますが,これには種類により色が様々です。根本的にはカイガラムシを防除する必要があります。



 これらの現象はウメに限らずいろいろな樹木に見られます。


ライラックの株の下から別の木の葉が出てきた。

市販のライラック(ムラサキハシドイ)はほとんどがイボタノキに接木されています。これらは同じモクセイ科ですが,属が異なるので,親和性がうまくゆかず,台木のイボタノキが発芽することがあります。



放置しておくとライラックは次第に弱り,枯れてしまいますので,気づいたらイボタノキの枝は元から切り取ってください。根元周りの土が固くなって木が弱った場合にも,イボタノキの葉が出る場合がありますので,土を耕して木に活力を与えてください。



また花後放置しておくと果実ができて,枝先が枯れることがあるので,不要の花柄は花後すぐに切り取ってください。


ヒイラギの葉の縁にかすれたような模様ができました。

「ヘリグロテントウノミハムシ」という昆虫による食害です。この虫は5月頃羽化した幼虫が新葉の中に潜って食害するので,葉の縁が褐色に変わります。成虫はテントウムシによく似ていて,幼虫ほどでありませんがやはり葉を食べます。



被害を見つけたら幼虫をつぶすか,被害葉を取り除きますが,すべてを除くことはできないので,浸透性の殺虫剤を2~3度散布してください。気づいてから防除しても,長い時間葉の見苦しい状態が続くので,被害枝葉を軽く剪定したうえで防除するとよいでしょう。毎年発生するような場所では,新葉の展開時期に予防的に殺虫剤を散布することがお勧めです。



この病気は同じ仲間のキンモクセイ,ヒイラギモクセイなどにも発生します。


ベニカナメの葉に赤い斑点が付き,後に葉が落ちてしまった。

カナメモチ類の葉に円形で褐色の斑点が生じる場合,「ごま色斑点病」が疑われます。これは4~10月に発生しますが,特に5~6月頃が多いようです。被害がひどくなると,枝が枯れたり,木全体が枯れたりするので,放置せずに対処してください。



発生に気づいたら,落ち葉や病斑のひどい葉は集めて処分し,木全体に殺菌剤を2週間ほど間を空けて2~3回散布します。風通しの悪い場所で発生しやすいので,こみすぎている枝は抜き切り剪定してください。あらかじめ新葉の出始めと出そろった頃に消毒しておくと発生を未然に防ぐことができます。


ツバキ・サザンカの剪定の要領は

大がかりな剪定は花の終わった後から4月頃までに,不要の枝や込み入った枝,ふところ枝などは基部から切ります。高さや枝の張りを抑える場合は枝の分れ目で切ります。直径3~4cm以上の枝を切った場合は,切り口に癒合促進剤を塗ります。



細い枝の剪定はいつでも構いませんが,7月頃花芽ができるので,翌年の花を楽しむ場合は,この前後の剪定には注意が必要です。晩秋ごろには花芽が膨らんでくるので,それを見極めて行うのが賢明かもしれません。


ツバキ・サザンカの新葉にケムシがついています。

5~6月頃にツバキやサザンカの新葉が出たときに合わせて,チャドクガというガが卵からかえり,幼虫が葉を食べます。初めは小さな集団で食べますが,何度か脱皮を繰り返して大きくなると,食べる量も増えます。この幼虫の毛には蟻酸が含まれているので,さわると痛みを感じ,人によっては被れます(抜け殻も同様)。



一部の葉に集まっている時は,葉ごと切り取り処分することで対処できますが,葉影での見落としもあるので,全体に園芸用殺虫剤を散布してください。これは7~8月頃にも発生します。気がついてから防除しても,食べられた跡がいつまでも残るので,あらかじめ新葉の出始めと出そろった頃(念のためには梅雨明けごろも)消毒しておけば,被害を未然に防げます。



なおこれは同じツバキ科のチャノキ,ヒメシャラ,ナツツバキなどにも発生します。


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